Tristan

オランダのソウルジャズシーンを代表するミュージシャンで構成されたTristan。Tower of Power、Snarky Puppy、Incognito、The Brand New Heaviesなどのソウルジャズ・フュージョンバンドと並んで評されることも多く、その圧倒的なグルーヴとタイトでパンチの効いたアレンジが繰り出されるその演奏力の高さが彼らのトレードマークである。またこれまでも楽曲に合わせて様々なゲストシンガーを起用することで、サウンドの可能性を押し広げていたTristanだが、本作からはニューボーカルにJaycilee Teterissaを起用。

ミュージシャンの父親の影響で、幼い頃から音楽に囲まれライブにもよく足を運んでいたというJaycilee。Stevie Wonder、Erykah Badu、D’Angelo、Earth, Wind & Fire、Tower of Powerらに影響を受けて育った彼女は、14歳で自ら楽曲制作を行うようになり、21歳からヴォーカリストとして本格始動。Paulo MendoncaのバックヴォーカルやAl McKayのサポートアクトを務めていたという。

Jayclieeの美しくソウルフルな歌声が新たな花を添え、さらにパワーアップした新生Tristan。米国大手ソウルメディアSoulTracksで取り上げられ、英国ソウルミュージックアワードBright Star Awards 2019では最優秀バンド・グループ部門にノミネートされるなど、世界中から彼らに熱い視線が注がれている。

今作も持ち前の熟練したテクニックと音楽愛を堪能できる生演奏にこだわった作品だが、前作までの隙のない完成されたサウンドに対して、今作では「シワを伸ばさず想定外をそのまま楽しんだ」と語るようにより彼らの生の部分を感じられる作品となっている。収録楽曲達のテーマも実生活に根付いたもの。メンバーが幼少期に好きだったことをテーマにした“1985”、パブで飲んでいる時にギターのGuyが発した「ごめん、バンにジャケット忘れてきた」というセリフをそのままタイトルに冠した“I Left My Jacket in the Van”などユニークな楽曲が並んでいる。

『Live in Concert』は、彼らの地元であるオランダ・ウーデンのジャズクラブ・Club De Pulでのライブの模様を収録したもので、現代の欧州のミュージックシーンに流れる熱いエネルギー、心地良いムード、そしてアシッドジャズらしいメリハリの効いたヴィンテージサウンドを、突き抜けるような爽やかさと臨場感たっぷりに心ゆくまで楽しむことができる。
ファンキーなギターやシンセ、フェンダーローズ、そして何十年の時を同じステージの上で過ごしたリズムセクション。 チームワーク抜群のミュージシャンたちに支えられながら、歌姫・Evelyn Kallanseeは自らの美しい歌声を惜しげもなく響かせ観客を魅了する。
７０年代サウンドへの深いリスペクトとシーンの最前線で磨き上げた瑞々しい感性を融合させながら、常にフレッシュな驚きと感動を伴うサウンドをリスナーの元へと届けるTristan。Tower of PowerやSnarky Puppy、Incognito、Brand New Heaviesなどタイトでダイナミックなサウンドが魅力のバンドに匹敵するエネルギーに加え、上質な楽曲・アレンジを武器に、彼らは更なる高みを目指して走り続ける。
ライブならではの迫力と完成度の高いパフォーマンスには、誰もが驚かされるに違いないステージ独特の息を呑むような緊張感、高まる熱気を内包したセットリストは、リスナーを極上の非日常へと連れだしてくれるだろう。

懐かしい時代に想いを馳せるようなグルーヴが心地良い”Let Me Breathe”や柔らかな温もりに包まれる壮大なバラード”Sprit One”をはじめ、アルバムに収録された楽曲はいずれも上質かつフレッシュで、強い推進力に満ちている。また彼ら自身の「Rock and Roll」な生き様、音楽に燃やす情熱、そして平坦ならざる人生への深い愛情が生々しく綴られたタイトルトラック”Lifestyle”は、夢を諦めない全ての人にとって自分自身と重ね合わせることのできる特別な一曲となるはずだ。

本作のオープニングを飾る”Keep On”、続く”Moontune”で序盤からとびきりソウルフルで、かつジャジーなサウンドを展開し、リスナーを一気に魅了する。その痛快なグルーヴに、聴けば思わず身体が踊りだすに違いない。また一方で、程良いルーズさの中に漂う異国情緒が心地良いインスト”Skip This”や、温かなホーンの響きと重なり合うエモーショナルな歌声が印象的なバラード”Butterfly”など、リードヴォーカルを務めるEvelyn Kallanseeをはじめとする実力派揃いのメンバーによって生み出されるサウンドの多彩さには、思わず多くのリスナーが驚かされることだろう。