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2/10に新作『The Letter』を日本でリリースするLemar(レマー)。2000年代前半にはイギリス国内シングルチャート2位を獲得するなど、圧倒的な人気を誇る彼のキャリアを改めてご紹介する。音楽的な変遷も含めぜひソウルスターLemarのことをより深く知っていただきたい。

UKを代表するシンガーLemarは1978年生まれ。ナイジェリア人の両親のもと、トッテナム地区で育ち幼少期よりシンガーとなることを夢見ていた彼は昼は銀行で働き、夜はギグで歌うという生活をする中で、地元で行われたアッシャーの公演にサポートシンガーとして出演を果たす。これを機に様々なアーティストの公演に関与していき、ついに2001年に”Got Me Saying Ooh”でメジャーデビュー。

その翌年2002年にBBCで放映が始まったタレント発掘番組「Fame Academy」に出演すると、最終的に3位に輝きソニーUKと契約し一気にスターの座へと駆け上がっていく。国内シングルチャート2位を記録したヒット曲”Dance (With U)”も収録された2003年のデビューアルバム『Dedicated』は、当時のUS R&Bの王道をいく作品としてUKはもちろん世界でも話題を集めた。

 

Lemar – Dance (With U)

 

続く2作目『Time To Grow』でも”If There’s Any Justice”がシングルチャート3位を記録し不動の人気を獲得すると、スタイルズ・Pやミーシャ・パリス、ジョス・ストーンを招いた3作目『The Truth About Love』でレトロ~ヴィンテージ路線のソウルを披露。

 

Lemar – If There’s Any Justice

 

わずか3年の間に一躍スターとなったLemarは2004~2006年にかけて〈Brit Awards〉の「British Urban Act」部門と〈MOBO Awards〉の「Best Male Act」部門で栄冠を獲得し国民的シンガーとして認知されるようになった。

その後もナズやエイミー・ワインハウスとの仕事で知られるサラーム・レミやジャック・スプラッシュなどの名が連なる4作目『The Reason』、2010年にはベスト盤『The Hits』をリリースしソニー系列のレーベルを離れ、2012年には自主レーベルから限りなくポップな路線に振り切った5作目『Invicible』を発表するなど活動を継続。

 

Lemar – Invicible

 

そしてそれから3年の時を経て新たにBMG Rights Managementと契約しリリースされた最新作が『The Letter』だ。海外では2015年の10月にリリースされた本作では、『Invicible』のポップ路線から大きく方向転換し、彼が心から愛するレトロなソウル・ミュージック/ポップスのカバー曲を中心として3曲のオリジナルソングを加えたまさに原点回帰の一作。オールドスクールな手法でピュアなソウルアルバムを作りたいという想いから制作された今作には、長くシーンを支える腕利きの制作陣が並ぶ。

ジョニ・ミッチェルの公私に渡るパートナーとしても知られ、オーセンティックで良質なポップスを生み出す名匠ラリー・クラインをプロデューサーに迎え、ドラマーには「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」において14位の名手ヴィニー・カリウタ、ギターにはマドンナやマイケル・ジャクソンを始め数々の作品を支えたディーン・パークス、バック・ヴォーカルには260枚以上のゴールドディスク、100枚以上のプラチナ・アルバムの録音に参加したボーカルグループのウォーターズからマキシンとジュリアの姉妹も参加。

その他にも各パートでマイケル・ジャクソンやアース・ウィンド&ファイアなどの名盤に参加していた面々を中心としてビックネームが並び、実に豪華な布陣となっている。

 

Lemar – The Letter

 

そうして完成した本作には、華やかなホーンセクションに彩られた贅沢でドラマチックな”Higher Love”、温かくも儚げなファルセットが胸を締め付ける”Never Be Another You”などLemarの魅力が存分に味わえるオリジナル曲と厳選されたカヴァー曲が収録された。

紆余曲折を経て自身のルーツに立ち戻ったUKのソウルスターの最新作は、原曲にある息吹はそのままに現代の新しい表現も盛り込んだ意欲作。ぜひチェックしていただきたい作品だ。

 

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